2021年7月3日 辰巳孝太郎百回忌、辰巳孝十七回忌追善能および7月4日 香里能楽堂五十五周年特別公演に寄せて

2021年7月3日に開催いたしました、辰巳孝太郎百回忌および辰巳孝十七回忌追善能の感想を書き留めさせていただきます。

私の高祖父の孝太郎と、祖父の孝の追善能にて「清経」を務めさせて頂きました。

偶々重なった回忌により、叔父の「半蔀 立花」、兄と従兄弟の兄の長女による「海人」と、初めて一族がシテを務める催しが開催されました。

当日は熱海の山崩れにより、新幹線が遅れ出演者、お客様も間に合わなかった事もありましたが、無事に舞台は進められ、「清経」を終えました。

元は2月に行われる予定でしたこの催しでして、昨年末より稽古をしておりましたが、昨今の状況により、延期されました。半年延期となると、本当に半年後に開催されるのか?と焦りと不安を抱き、また香里能楽堂が7月から工事が始まる知らせは伺ってましたので、無事の開催を願って止みませんでした。

色々な事象が重なりながらも、催しも終えられましたのも、御先祖様、辰巳家を支えて下る全ての方、応援してくださる方々の御陰様でした。

もう一度、「清経」舞いたいです!

辰巳大二郎

7月4日 香里能楽堂五十五周年特別公演

香里能楽堂五十五周年特別公演ついに、現在の姿最期の公演。

朝から気合い十分に、無事を願って家を出ました。

「大蛇」(オロチ)は大阪では三十五年振りの上演になり、観世流には無い曲目ですので、御ワキ方、御狂言方、御囃子方、それぞれ大変遠い(滅多に出ない)曲目になります。

大蛇が酒を呑み酔っ払うシーンに使われる酒船の作り物が出てきますが(出さない演出も有り)大阪には酒船の作り物が無いので一生懸命作りました。

後シテも普段は龍神の出で立ち(黒髭の面に龍の冠)前日に「海人」にて使用しましたので、重ならないようにと、真蛇の面(辰巳家の真蛇の面相が龍蛇、男蛇の為)に黒頭と初めての試みでの演出になり、大変良かったと思います。

そして留の宝生御宗家による「七人猩々」こちらも大阪では三十年振りの上演になり、五十五周年の締め括りにふさわしい演目でした。

香里能楽堂は橋掛かりが短い為、最期のシーンでは六人の猩々が並ぶので、相当密でしたが、なんとか無事に終える事ができました。

この三日間は準備は毎日大変でしたが、能楽堂に感謝を込めて舞わせて頂く事ができました。お天気にも恵まれ、沢山のお客様にお越し頂き盛会に終える事が出来ました。

皆々様、大変感謝申し上げます。

辰巳大二郎