6月19日 五雲能 「熊坂」シテとして出演 宝生能楽堂 東京
熊坂を演じさせて頂くのが、これで二度目でして、初演はちょうど10年前、しかもその日も祖父の辰巳孝の命日でした。今回は母方の祖母の一周忌。
熊坂の最初の謡出しに「今日は去るものの命日にて候。弔いて賜り候へ」と言う詞が御座いまして、奇妙な巡り合わせに何かあると感じました。
同じ能を二度、三度と、能楽師は舞台を重ねますが、やはり初演の時よりかは幾分気持ちを落ち着かせる事が出来ますが、初演よりももっと表現力や存在感、謡方等を突き詰めますので、いつも課題が残ります。
「烏帽子折」の熊坂は現在能になりますので、63歳の熊坂と、亡霊の熊坂とではやはり位取りが違います。
その「位」がやはり難しく、悩める部分でした。
誠心誠意能を演じる事の難しさを、改めて痛感致しました。
大変な状況の中開催されました宝生会、
応援にお越し頂きました皆様に感謝申し上げます。