藤原淡海公の子、房前の大臣は、自分の母の出自についてくわしく知るために、讃州志度の浦へ赴きます。
そこで出会った海人は、臣下の問いにくわしく答えます。
唐(現在の中国)から送られた3つの宝もののうち、「面向不背の珠」という宝を竜宮に取られてしまい、それを引き上げて亡くなった海人こそ、房前の母であったと語ります。
珠を取り返す様子を自ら見せて、実は自分が母の幽霊であると名乗って海中に消えます。
房前が追善供養を行うと、母が龍女の姿であらわれて、成仏を喜びます。
小書「懐中之舞」では、前半の「玉之段」で床几(しょうぎ)にかかり、途中から立って舞います。後半、舞の前に子方へ渡す経を懐中して舞い、早舞の最後に渡します。
後シテは黒頭になり、面も変わります。